ココロのカケラ

あの子のいた軌跡

月曜日

はしわたしを 三度した
係の人が 選んで 私達ふたりの近くに置いてくれたものを
夫と私で そっと白いつぼにいれた


熱気が 舞い上がるように 私を包み込む
遠くで やけどをしないように言う係の人の声が聞こえた気がする
ただ はしを動かし続ける
私もお手伝いしましょうか と 二度言われる




白くてきれいですね


立派ですね


座って拝んでるようにみえませんか


お地蔵様の様な




私は 思いのたけを出来る限りひろいあつめた


そのじかんは 線香が 燃えつきるまでもなく終わっていった





ついさきほどまで
私より大きかったはずなのに




大好きだったキャラクターをいれて 気に入りだったであろうものをいれて
喜んでいたお菓子をいれて 真っ白な布団をかけられたすがた


「がんばったね お父さんとお母さんの うちにいこうね。」


丘の上までの みちのりは長かった


みじかい お別れの時間 手をあわせても何も頭にうかばなくて…



棺が そこに入るとき 不意に 
これで 最後と思ってしまって たまらなかった
やめて いやだいやだ‼
本音は 言えなかった


夫にささえられて ソファーにすわり
雪のふる窓のむこうに たちのぼるであろうゆらぎを見ていた



もう どこにも あの子は いないんだ

×

非ログインユーザーとして返信する