ココロのカケラ

あの子のいた軌跡

火曜日

あの子の部屋の管理会社へ向かう
不慣れな田舎者夫婦に この街は大きくて スマホアプリにされるがままだ


口コミどおりのロビーで 呼び出しにも戸惑いながら
それでも 出てきた担当者に 必要事項を聞いている


話の感じは 悪くはないけれど 何か聞き漏らしなどないか それと
これからは 未知数なものもあるのかもしれない語感が気にかかる


管理会社のあとは 葬儀会社に 清掃おたき上げの下見の依頼だ
「正直このくらいの荷物量なら ご遺族がなさっても…」
と言われるが この季節 そうそう何度も来たくてもこられない
それに この街の不用品処理のルールも何も知らないのだ
事情を話して お願いする


それが終わると区役所だ 
お世話になったであろう人は前任者が一人いて 書類を出してそれでおわり



どんどん あの子の存在を消していく作業
まだまだ こまごまと する事はつづく


ホテルにもどり コンビニで買ったおにぎりを食べる
テーブルに あの子の分も並べて座る


3にんで 温泉に小さいころ来たっけね
浴衣を着せて いっしょに寝たね
大きなお風呂や 泡ブクブクで遊んだり 馬の形の浮輪に乗ったり…


いまは ただ テレビだけが なにか鳴っている…

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