ココロのカケラ

あの子のいた軌跡

1月8日

雪は朝にはすっかりやんでいた。

アイスバーンの上に 除けきれてない雪が残りタイヤが取られて、走りにくそうだ。


あの子の部屋の後片付けとお焚き上げを依頼する。

業者は時間がなさそうで けれども丁寧に応対してくれる。今年は、どうやら寒いめの年らしいから、防寒の衣類もお願いした。

「全部処分して良いのですね?」と業務上必要な確認をされる。

処分と聞くと 少し切ない。なので「ええ、お焚き上げで…」と こころもち強調してみる。

プロの仕事は速い。ホットチョコ一杯飲む間に終わってしまった。


何も無くなった部屋を 眺め、振り返りながら後にする。


 通っていた支援事業所に向い、何度か話した職員さんに挨拶をする。

いきなり行ったせいか、かるく慌てていたかもしれない。何を話すべきか、流れるように会話しながら、考えていたのかもしれない。


 車中で昼食をとり 管理会社との約束まで時間をつぶし、再度あの子の部屋へ向う。

途中、こじんまりした沖縄の言葉の看板の食堂を見かける。なんとなく、ここに立ち寄ったりしたんだろうなぁと想う。


 部屋の確認をしてもらい、最後の家賃とハウスクリーニング代を支払う。

カギを返して終わった。

だから もう ここにくる事は無いだろう…


ガス会社に連絡して 電力会社に連絡して 水道も電話して… すっかり何も無くなっていく。


「ほんの 2ヶ月前にはあの子は暮らしていたのにね…」

商業施設の防犯カメラ等に映ってないかな…

見せてもらえるなら、観てみたいなんて考えたりしている。

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