ココロのカケラ

あの子のいた軌跡

夜の帳のおりた中で

ずっと 考えてしまっていた
ずっと ずっと ずっと


だから どうしても 聞いてみたくなってしまって
訊ねてみた


嫌う訳なく
そばにいる


不意に涙が溢れる
こんな 不出来な私なのに 嫌わないでいてくれているのか
こんな どうしようもない私なのに…


なんて私は恵まれているのか…


優しい子だったから
お母さんさみしいよっていったから
そばに居てくれているのかい?


あの子が居るのなら もう暗闇は怖くない気がする
私は臆病で 子供の頃から暗い所が怖かった
親孝行だね ありがとうね
本当に あなたに幸せを多くさん貰った ありがとうね


お母さんがんばるよ


悲しみが心を100%占めている時が続いても
悲しいんだから しっかり悲しんでいいんだ
そしてたまに1%でも別の事を思えればいいんだ
その後また悲しみ100%になってもいいんだよ


魂を磨き続ける
生きてても 生身のカラダを持たなくなっても同じだね
一緒に色んな事を 思えたらいいね
あきらめない 時間は多くさんあるじゃない?


オーガンジーに入った包みを手にするたびに 胸の奥がキュッとする
遺影の顔つきが 少し明るくなった気がする

名前

いろいろな申告だったり 書類を書いたりする時期
もう引っ越して数年になるのに 
なぜかこの頃古い住所を書きかけてしまう
訂正印の多いこと…
そして
あの子の名前も 手が勝手に書きかけてしまう
…これは
訂正印で済ませたくない気がして用紙を新たに用意する


前の住所の頃
何度も何度も 多くさんの書類に子供たちの名前を書いた
もう何年も あの子の名前は書く機会はなかったのに
今は 下の子だけなのにね


もっと多くさん あの子の名前を書きたかった
何回も何回も 書きたかった


手が覚えているかのように よどみなく書きかける
晴れの日のイメージのあるようにと つけたから
おめでたいことの時に目にすることの多い
あの子の名前に使われている漢字を見るたび 少し切ない

アーモンド

幼稚園ぐらいの頃 親類の家で

ナッツ入りのチョコを よそのこは食べるから なんて言われながらご馳走になったね

チョコレートは大好きなはずなのに

どうにも苦戦して 口から出して

食べなかったっけね

まわりの大人が 好き嫌いしてみたいな顔してみていた


なんでかなぁ?と 見ていたら

葡萄とにたようなしぐさで 出してたね

だから ひょとしてと思って

「チョコレートにはタネが入ってるんだよな?」と言ってみたら思いっきり頷いていたね。


うん アーモンドは種だよ

まごう事なく 種そのものだよ


かわいかった 本当に可愛らしかった


遺影を見るたび あの子を想う